あ~、本読みすぎてあほになる!!
本をたくさん読む人は語彙力が優れているとか、あなたは読書家だから文章が得意でしょう?とか言われるけれど、本当に?
本を読むだけで何がそんなに変わるというんだろう。
むしろ、頭が空っぽになってしまうんじゃないかと心配しています。(*^_^*)
でもやめられないんだよなあ。
私はただ面白いから読んでいるだけなので、本であれ舞台であれ漫画であれ、みんなおんなじ感覚なんですよね。
(だからどちらかというと実用書が苦手なのかな?)
自分では実体験できないたくさんの人生を、活字を通して体験できるのが面白い。
例えば今回読んだ『村上海賊の娘』もそう。
海賊とか船いくさとか、今の時代にありえない世界。
聞いたことのない言葉(単語)や、考え、事実に触れるって楽しい。
舞台が瀬戸内海から大阪湾の範囲なので土地勘もあるし、方言も全くなじみがないわけじゃないから、イメージも浮かびやすく、読みやすかったです。ただ、戦闘シーンでは、船の形状や道具の扱い、人の動き等、想像力が及ばないところも時々あって、そのへんは適当に流しました(笑)
主人公の景姫は、男勝りで気性があらく、外見に相当難ありな大女。
と思われているけれど、見方によっては実は美女。
外国人のような容姿ということは、現代の感覚でいうと、美人になるかな。
お父さんは小男なのに、景も弟の景親も背が高い。お兄ちゃんはどうだったかな?小さくはなかったはず。
この一家が、普段はなんやかんやとやりあっていても強い絆で結ばれているさまは、読んでいて心地良い。
この家族だけじゃなく、敵対する泉州の面々や一向宗の門徒たちもそれぞれに強い絆を持っていて、本願寺攻めや海戦という血なまぐさい出来事が、そこまで生々しくクローズアップされないところが私の好み。
敵味方に分かれるけれど、登場人物がみんな(いや、ほとんどが)良い人だというのもいいですね。
それぞれが自分の志を持っていて、「面白いやつ」ばかり。
そのなかでも一番共感が持てるのはやっぱり景かな。
現代でも、多くの女性は琴のような良くも悪くも女性らしいタイプだけれど、景みたいに、飾らず思いのままに自由に生きる人のほうが私は好き。。
物の考え方もね。
海賊や武家の男性陣はみんなそろいもそろって、自分の家を存続させることが第一で、そのためなら昨日まで一緒に酒を酌み交わしていた相手を殺すこともいとわない。それが戦だって割り切って仕事ができる。つまり、結局は自分のことしか考えてないってこと。
景はそういう男たちに腹を立てる。わたしだって!!こういう腹の底が冷たい人間は一生理解できないって思う。
(最終的にはここの男性陣たちは、景によってそれ以外の顔も見せるようになるんですけれどね。)
一方の景は、自分のためではなく、一向宗門徒のために立ち上がる。利害とか計算とか、そういうことは一切考えず、人のために力を尽くし、ただ正しいと思う方向に舵を切る。(あ、舵は「切る」であってるかな。間違えたら元吉兄者に怒られる!!)
そこが魅力的。
結局これは女性的視点ということになるのかな?
ひとつ気に入らないのは「鬼手」。あれだけ引っ張っておいて、「女子を兵船に乗せる」だけの意味だったなんて。
女が一人船に乗っていることで、男たちは彼女を守ろうと正気を失ったかのように突き進む。
ただそれだけ。
女なら誰でもいいというわけではないだろうけれど、本文を見る限りでは、誰でもよさそう。
戦の女神の如く、兵を魅了する特別な何かを持っているとか、戦場において豹変するとか、何か特別なものを期待してたのに!!
って、これじゃ戦というものに幻想を抱いていた景と同じだわ。
ことはもっと現実的だったって話か。
4巻で一つの戦いが終わって、その先登場人物たちがどうなっていくのかがすっごく気になる。
史実については最後に書かれているけれど、そこに至るまでのストーリーが知りたい。
続編とかスピンオフとか書けそうだな。
ここで完結してしまうのはもったいない気もする。けど、ちょっと物足りない位がちょうどいいのかも?