読書

人間の心の闇に触れる『土の中の子供』

投稿日:2016年7月21日 更新日:

第133回(平成17年度上半期) 芥川賞受賞作品、中村文則著『土の中の子供』。
新潮文庫版には、『土の中の子供』と『蜘蛛の声』が収録されています。

土の中の子供

人間の、触れてはいけない心の底の部分に、チョンと細い針を突き刺したような作品です。

近年クローズアップされることの多い子供の虐待。
虐待を受けて育ち、心に傷を負った子供が大人になるとどうなるのか。
私にはまるでわかりません。

でも、本書を読んで、虐待云々に関わらず、ちょっとしたボタンの掛け違えで、心に深い闇をかかえることは誰にでもあることなのではないか、むしろそういった経験をせずに生きていくことの方が難しいのかもしれない、と感じました。

人はどうやって精神の均衡を保っているんだろう?

仮に二人の人が全く同じ経験をした場合、その状況を受け入れる人と、抵抗する人の違いはなんなんだろう?

本書の主人公のような経験はしていなくても、ほんの少しでも感情的に理解できる部分がある人は多いのではないか。

そんなことを考えながら読み進めました。

こういった小説の発想はどうやったら生まれるのでしょう。
細かい描写を見ていると、筆者の実体験に基づくものなのかなと想像してしまいます。
特にそれを強く感じたのは、蚊の進路を邪魔するところ。
あまりにリアルで「うわ、こんなことする人いるんや!嫌な奴!!」と本気で思ってしまいました。

中村文則氏の内面表現力が素晴らしいのは疑いようもないけれど、この作品に限らず、社会の中で病んでいく人々を描いた小説に注目が集まるのはなんだか悲しいような気もします。

人が人を傷つけたり、争いあうことなく、誰もが健全で、楽しい人生を過ごせる世の中だったらいいのに。

蜘蛛の声

主人公は少年?大人の男性?
何が本当で何が妄想?
何がなんだか全然わからない。

『土の中の子供』の後に読んだから、多少なりとも味わって読めたというところでしょうか。
全くつまらないというわけではありません。
でも結局何の話だったのかが分からない。
短編とはこういうもの?

ハテナだらけなのは短編小説ばかりではなく、このブログも同じですけれどね。
不完全なものには想像の余地があって、楽しいものです。

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