新田次郎の山岳小説、『孤高の人』を読みました。
加藤文太郎さんという、実在した登山家の話。
神戸から宝塚への六甲山縦走、槍ヶ岳や富士山への登山。
すっかり一緒に山に登っている気分になって読んじゃいました。
「孤高の人」=単独登山 なのにね。
場所になじみがあるから、イメージしやすかったのかな。
雪山登山なんてしたことないのに、寒さと疲労と戦いながら登る姿に、自分も一緒になって登っているような臨場感を味わいました。
もうね、街歩いてても「寒い!!凍死する!!ちゃんと食べて、しっかり眠らなきゃ!!」って思っちゃう(笑)
現実と本の中の世界がごちゃまぜになっちゃってます。
この作品の表現も好きだなあ。
「陽の暖かさに甘えたような緑」って、素敵ですよね。
情景が目に浮かぶ。
ぽかぽかあったかいんだろうな~、気持ちよさそうだな~って。
緑は甘えるのか。そんな言葉が浮かぶ感性がほしい。
この本を読んで思ったこと。
【あたたかい陽だまりのなかで、おだやかに、豊かな気持ちで暮らしたい。】
過酷な状況に自分を追い込むようなストイックなことはできない。
そんな風に頑張っていた時代もあったけど・・・もうむり。。。
登山家とかマラソンランナーとか、頭が下がります。
ところで、この作品の著者新田次郎さん、「聖職の碑」を書いた人でした。
昔、小説の舞台をだどって木曽駒ケ岳登ったな~。山小屋に泊まって、カレーを食べて、上から雲を見下ろして。
登山素人の女性ばっかりでよくあんなことやったよなあ。
なつかしい思い出です。
山岳小説と言えば最近話題になったのは、映画「エヴェレスト」の原作『神々の山嶺』
あれも面白かった。映画も、あべちゃんの最後の顔が忘れられない。
自分は登らないけれど、いや時分が登らないからこそ?山岳小説って面白い。