昨日に引き続き、幕末物です。
中村半次郎こと桐野利秋の物語。
司馬遼太郎の『翔ぶが如く』でも有名な人物ですよね。
薩摩藩の下級侍として、食べることが精いっぱいの貧しい暮らしを送っていた中村半次郎。
毎日の畑仕事で体を鍛え、一人で剣術の稽古をし、その一途さと実力を西郷隆盛に認められ、ついには明治政府で陸軍少将にまで出世します。
この人、とにかくストイック。剣の腕を磨くのも、読み書きの練習をするのも、ほんの少しの時間も無駄にしない。
仕事の合間に刀を振り、寝る時間を削って勉強をする。
眠らない男ってやつですね(*^_^*)。
でもまじめでカチカチ頭の人物ではなく、おおらかで、かなりの女好き。常に3人の女性の姿が見え隠れしています。
この小説はどちらかというと、半次郎と女性の物語に軸が置かれていているんですよね。でも恋愛小説にはならない。
史実として、おしゃれで、美男子だったようだけれど、そういう描写があまりない。
かといって、汗と血にまみれた男臭い雰囲気でもない。
田舎侍のころのままの人柄で、最後までまっすぐにいきていて、それはそれで素晴らしいけれど、陸軍少将にまで出世した”人物”らしさがない。実際そういう人だったのか、小説の設定がそうなのか。。。
西南戦争に身を投じて、最後まで戦い続けた熱さ・力強さもちょっと足りない。
どちらかというと淡々と生きてきたように描かれているのかな。あらゆる面で、もうちょっと盛り上がりというか、ドラマが欲しかったなあ。
これがもし女性作家の作品だったら、イケメン度がグッとアップして、「これは女の人がたくさんいても当然だわ」と女性に思わせる描写がされてただろうし、もっと格好よく描かれてただろうなあ、なんて想像するのも面白いですね。
池波正太郎さんの本は読みやすいし、私の好きな歴史物が多いので、他の本も読んでみたい。
読んだらまたご紹介しますね。
さて、今年8月26日から、宝塚歌劇団星組で、中村半次郎こと桐野利秋を主人公とした舞台「桜華に舞え」が上演されます。
ポスターのみっちゃん(北翔海莉さん)素敵。とっても格好良いし、体格の良さが生きてる。
でも、この本を読んでる間、ずっと主人公をみっちゃんに置き換えようと努力したけれど、全然イメージがわかない。
みっちゃんっぽくないんだよなあ。
演出家の齋藤先生、どう料理してくるかな。今から楽しみです。