『ハプスブルクの宝剣』、久しぶりにスカステで放送されていました。
確か初めて観たときの感想は、「これはこれで悪くないけど、あの原作を知っているから、原作と比べるといまいち」だったと思いますが、よく覚えていません。
このころはまだちえちゃんファンではなく、作品が好きだったから観たんですよね。
数ある藤本ひとみの小説の中で、私が最も好きなのがこの『ハプスブルクの宝剣』。何度も何度も繰り返し読みました。
それだけに思い入れも強く、初めて舞台を観たときには「あの場面がない!」「あのエピソードがない!!」と不満でした。
とはいえ、シルヴェスター・リーヴァイ氏作曲の主題歌は素晴らしいし、全体としては面白かったです。音楽がどれも良かったんですよね。今回改めて観てふと、「あれ?王家に捧ぐ歌に似てる?」と思うフレーズがあちこちに。もしかして!と思ったらやはり、作曲は甲斐先生でした。曲で作曲家まで分かるようになったか、私(笑)
ストーリーはこんな感じ。
ユダヤ人エリヤーフーが、ヘブライ語でしか書いてはいけないと決められているユダヤの聖書をドイツ語に翻訳して出版。パドヴァの大学に通っていたユダヤ人仲間から、その偉業をたたえられます、しかしフランクフルトのユダヤ人居住区に住む家族とその地区のコミュニティーでは受け入れられず、本は禁書となりました。また、恋人であったドイツ人の娘アーデルハイトとの関係を許されず、彼女の婚約者となった青年と決闘し殺害。
つかまって拷問されてぼろぼろになっていたところを、のちにマリアテレジアの夫となる、フランツ・シュテファン・フォン・ロートリンゲンに助けられます。
才能豊かなエリヤーフーはフランツの臣下として重宝されるようになります。ユダヤであることを隠し、名前もエドゥアルト・オーソヴィルと改めました。
やがてマリア・テレジア(テレーズ)と出会ったエドゥアルトは、その容姿がアーデルハイトそっくりであることに驚きます。テレーズもまた、エドゥアルトに惹かれていきました。
ところがある日、エリヤーフーがユダヤ人であることをテレーズに知られてしまいます。テレーズはエリヤーフーを必要としているけれど、立場上、そして感情的にもユダヤ人を受け入れることができない。
やがてエリヤーフーは宮廷を去ります。
あるとき、兵士たちがユダヤ人にひどい扱いをしている光景を目にします。なんとそこにいたのは、エリヤーフーの家族でした。彼らはエリヤーフーのことを思って他人のふりをします。
その後、戦いの中で大けがを負ったエリヤーフーは、あるユダヤ人に助けられます。エリヤーフーが目を覚ましたときそばにいたユダヤ人の少女は、ある一冊の本をもっていました。それは、ドイツ語で書かれたユダヤの聖書。
そしてエリヤ―フーはある決意をするのです。
ラストがね、小説の方が好きだったなあ。でも小説版には他にもいろんな展開があって、アーデルハイトが幸せじゃない。
宝塚版の方がみんなが幸せになれる終わり方だったな。
原作本を読んでいなければ、舞台としてはすごくよくできていると思うんです。うまく説明できないけれど、面白い。
ちえ、てる、ねねと役者がそろっていたのも重要ポイント。ちょいちょい小さな役もたくさんありましたね。
今見ると、知っている生徒さんがたくさんでていて、場面ごとに違う役に扮しているのが面白い。
作品としても、再演しても良いんじゃない?って思えました。ただ、初演の評価がそんなに高くなかったんじゃないかなあ・・・今ならまた違う評価を得られるんじゃないかって気がしますけど、どうでしょう?